N20200007
治療抵抗性うつ病に対するquadripulse transcranial magnetic stimulationによる次世代ニューロモデュレーション治療法の開発とその治療メカニズムの解明
【自機関主導・多施設共同の特定臨床研究】
概要
原資料の不適切な改変、研究対象者の適格性確認の不備、評価項目の改変および不適切な報告、同意取得記録の不備、モニタリングの不備
(1)原資料の不適切な改変: 主要評価項目の原資料である対象疾患重症度評価尺度の記録紙において、評価者による評価結果を、評価を行っていない研究分担医師A(2025年5月退職)が評価者に無断で改変した。その際、改変の日付や理由を記録せず、また改変者について実際と異なる記載が行われた。
(2)研究対象者の適格性確認の不備: 研究対象者候補の適格性確認を行った研究分担医師Aが、研究計画書に規定された全ての選択基準および除外基準への該当・非該当を確認せず、一部の選択基準・除外基準について未確認のまま本研究の研究対象者として登録した。
(3)評価項目の改変および不適切な報告: 研究終了後の総括報告書において、実施計画・研究計画書・統計解析計画書のいずれにも主要・副次的・探索的評価項目として規定されておらず、事前にjRCTで公表されていない新規の評価項目を、認定臨床研究審査委員会(CRB)への変更申請を行わずに新たに追加設定し、また不適切に改変した原資料に基づいて当該新規評価項目の解析結果を本研究の結果として報告した。
(4)同意取得記録の不備: 研究対象者から研究分担医師Aが取得した同意書の記載と当院診療録の記録に不整合があり、説明日または同意取得日の当院診療録において、それらを当院で実施した旨の記録が確認できなかった。
(5)モニタリングの不備: 研究計画書に規定されたモニタリングが未実施であった。また実施計画でモニタリング担当責任者として記載された者は、その旨を統括管理者より通知されておらず、当該責任者に自らが指名されていることを認識していなかった。また2023年12月、研究分担医師Aは当該モニタリング責任者名義で自らモニタリング報告書を作成した。
対応状況等
・経緯
2025年3月、本研究(2024年7月終了)について、研究分担医師Aによる不適切な研究行為の可能性に関する情報提供があった。2024年6月に着任した後任の統括管理者兼当院研究責任医師は、原資料の一部の確認およびAへの調査を実施し、当該可能性を否定できないと判断、2025年4月に当院管理者へ「不適合報告」を提出した。また同月、当院管理者の指示により統括管理者はCRBへ「重大な不適合報告」を提出した。以後、認定臨床研究審査委員会(CRB)により以下3回の審査が行われた。
•第1回(4月): 「重大な不適合報告」第1報について審査され、原資料修正の経緯や研究結果への影響、終了届のjRCT公開遅滞経緯等の調査を求める付記事項とともに継続審査とされた。
•第2回(5月): 情報が追加された「重大な不適合報告」の続報(第2報)について審査され、正しい原資料に基づく総括報告書の修正・再提出および公表済み国際学術会議2件への迅速な連絡・対応等を求める付記事項付きで承認とされた。
•第3回(11月・12月): 2025年9月および10月に実施された臨時モニタリングの結果等を踏まえた「重大な不適合報告」の続報(第3報)が提出され、11月審査で詳細や要因・是正措置等の報告を求める付記事項付きで継続審査とされた後、12月審査で、総括報告書等の適切な修正・再提出、全研究対象者への説明と取得データの使用に関する再同意の取得、機関内記録や関係者への調査および報告を求める付記事項付きで承認とされた。
これらのCRB審査結果および本研究実施グループの対応は、当院管理者へ都度報告されるとともに、当院臨床研究ガバナンス委員会で対応状況や以後の対応方針が説明され、了承された。
本件は現在、臨床研究法に準拠する特定臨床研究として是正および再発予防に関する対応が行われているほか、特定研究不正の疑いに関する調査が別途行われている。
・発生要因
本件において判明した不適合は、いずれも過去に当院研究分担医師であったA(2021年9月本研究開始時〜2024年7月終了報告書提出まで。2025年5月退職。)に起因するものと考えられ、また前任の統括管理者兼当院研究責任医師(2021年9月〜2024年6月まで)による当該研究分担医師Aへの指導・監督の不足が関係したものと考えられる。これらの者の、本研究の適用規制(臨床研究法令)および臨床研究における一般的な倫理原則に関する理解の不足、ならびにこれらの規範の遵守意識の不足が要因として考えられる。
・是正措置および再発予防措置
【当院管理者による対応】
2025年4月、後任の統括管理者兼当院研究責任医師より不適合報告を受け、直ちに重大不適合としてCRBの意見を聞くよう指示するとともに、以後の対応においてその意見に従い適切に行うよう指示した。また2025年5月、本件に関する特定研究不正の疑いの申し立てを受け、「厚生労働分野の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」および本学・当院規定に基づき、本調査委員会を設置し調査を開始させた。さらに2025年11月、当院として本件への対応に関する第1回検討会議を招集・開催し、同一教室・診療科で実施中の研究について本件事案で認められた逸脱・不適合に関する自己点検を指示し、2026年1月までにその結果を確認するとともに、報告された一部の不適合については、倫理審査委員会やCRBの意見を聴き適切な対応を行うよう指示した。
【統括管理者(研究代表医師)および当院研究責任医師による対応】
原資料の確認、研究分担医師Aへの調査、当院管理者への不適合報告およびCRBへの重大不適合報告、臨時モニタリングの実施等を通じて、本件の詳細確認と臨床研究法令および当院諸規定に基づく対応を実施した。また2024年7月にCRB承認を得た本研究の総括報告書について、2025年12月の第3回CRB審査結果を踏まえ、特定研究不正の調査結果確定後に必要な是正を行なった改訂版を再作成し、CRBへ付議する予定としている。
【再発予防措置】
特定研究不正に関する調査結果の確定および公表、ならびに臨床研究法特定臨床研究としての重大不適合報告対応の完了後に、当院として必要と考えられる再発予防措置を検討し、施行する予定としている。





